Aditya Prakash Dining Chair

独立後のインドにおいて、国家建設の責務を担った世代の建築家アディティヤ・プラカシュ（1924–2008）。建築だけでなく、家具、絵画、写真、著述、演劇など多領域で活躍し、インド初期モダニズムを牽引した人物です。1951年に着工したチャンディーガル首都計画に、ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレとともに参加し、建築大学や公共施設、劇場などの計画を通じて、都市の文化と日常を支えるデザインを実践しました。 1960年代にはパンジャーブ農業大学キャンパスの設計を主導し、1968〜1980年にはチャンディーガル建築大学の教育者として後進を育成。環境や都市化、チャンディーガルの歴史的価値に関する研究にも尽力し、80件を超える建築・家具プロジェクトを遺しています。 こちらの「APダイニングチェア」は、そんなプラカシュの家具デザインへの広い視野を映し出す一脚。曲げ木の滑らかな背もたれ、丸みを帯びたテーパード脚、そして籐張り座面の軽やかな構成は、チャンディーガルのフランス・モダニズムとは異なる、北欧デザインへの探究心を感じさせます。清潔感ある佇まいと丈夫なつくりにより、ダイニングからワークシーンまで日常空間に自然に溶け込み、静かに寄り添ってくれます。 プラカシュの豊かな仕事は現在、カナダ建築センター（CCA）にアーカイブ保存され、Phantom Hands がその調査・デジタル化を継続支援しています。