Pierre Jeanneret
この一連の家具は、一般的にはスイスの建築家ピエール・ジャンヌレ(1896-1967, 建築界の巨匠ル・コルビュジエの従兄弟)によるデザインとされていますが、実際は、当時ジャンヌレをリーダーとしたデザインオフィスが設立され、現地の若いインド人建築家やデザイナーたちも様々な家具のデザインや制作に携わっています。 また、地元の職人たちも密接に協働しており、インド初のモダニズムデザインに貢献しました。
ジャンヌレが率いるデザインオフィスによって作成された図面は、職人の各自の判断や必要に応じてデザインや材料をアレンジしてもよいという指示とともに、複数の工房に配られました。したがって、各モデルには様々なバリエーションがあります。これらの家具は自由に複製することを意図しており、単一の工房にライセンスを供与されることはありませんでした。ジャンヌレ自身も、家具の著作はその手で実際に製作していた地元の多くの職人にも同様に属していると考えていました。
何年にもわたってデザインが普及し、バンガロールやデリーなど、インドの他の都市の官公庁や住居にも同じスタイルの家具が見られるようになります。これらのデザインは1950年代から現在に至るまで制作されており、これほど大規模となったオープンソースデザインはもはや世界初としか言いようがありません。