Børge Mogensen
「庶民のデザイナー」として知られるボーエ・モーエンセン(1914-1972)。そう呼ばれるのは、彼の社交的な性格だけでなく、一般庶民が手の届く価格でありながら、質の高い家具を創ることを使命としてきたことに由来します。
家具職人としての修業を終えた後、モーエンセンはデンマーク王立芸術アカデミーなどで家具デザインを学びながら、同時にコーア・クリントやモーエンス・コッホのデザインスタジオで勤務していました。
モーエンセンにとって、機能に関係の無い装飾やユニークさを強調するだけの実験的な試みは不要な要素であり、その明解なデザインアプローチは、師でもあり、当時デンマークデザインに大きな影響力を持っていたコーア・クリントの影響によるものでした。 クリントが唱えた、人のプロポーションに基盤を置くデザインやその思想に深く傾倒し、完成された家具とは、さりげない美しさをもち、純粋な機能主義的な思想を放つものでなければならないという、共通の考えを持っていました。
1942年には、デンマークの生活協同組合FDBの家具部問のチーフデザイナーに就任。 FDBでは、一般庶民のための質の高い家具を次々と発表し、新たなモダン家具の流れを気築きました。
短い生涯ながら、その独特のスタイルでデザイナーとして確固たる位置を築いたモーエンセン。35年間のキャリアの中で多種多様な家具を発表し、その多くが今日でも名作として高く評価されています。