Ilmari Tapiovaara

1914-1999

フィンランドのハメーンリンナに生まれ、ヘルシンキの大学ではアートと家具デザインを専攻したイルマリ・タピオヴァーラは、北欧デザインとミッドセンチュリーの国際的なモダニズム運動とのパイプ役のような存在でした。ル・コルビュジエのアシスタントとしてキャリアをスタートさせた後、米国に渡り、シカゴ工科大学で教職に就き、ミース・ファン・デル・ローエのオフィスでの仕事を得ます。その後もパラグアイ、モーリシャスで国連開発計画の一環で家具のデザインを手がけます。

戦争後、人々のより良い暮らしのために、タピオヴァーラは量産可能な家具の開発に注力するようになり、1946年に妻アンニッキとともに手掛けたドムスアカデミカのプロジェクトを成功に導いたことで、一躍その名を広め、代表作となる<ドムス チェア>が生まれました。

よいデザインはすべて人に渡るものであるべきと確信していたタピオヴァーラは、家具を始めとして、照明器具、ガラスウェア、カトラリー、ステレオ機器、テキスタイル、壁紙、そして玩具に至るまで幅広くデザインを手掛けました。また、グラフィックアーティスト、インテリアデザイナーとしても才能を発揮しました。家具のデザイナーとしては、用途を選ばない椅子の開発に惜しみない時間を注ぎました。そうして生まれた椅子は座り心地がよく、使いやすく、運送や収納を考えてスタッキング、あるいはノックダウンが可能なようにデザインされていたのです。

イルマリ・タピオヴァーラの活動は、いつの時代も社会のニーズに適切に対応した「人々のためのデザイン」という考え方に根ざしていました。戦中戦後の厳しい環境のなかで、民衆が本当に必要とする有効なものづくりを実直に目指したタピオヴァーラの精神は、時代や地域の差異を超えて、いまでも世界中の人々の心に響き渡ります。

facebook instagram